- 2026/10/26
ラピスラズリが本物か知りたいときの見分け方|除光液で試す前に読んでほしいこと
母から譲られたラピスラズリのネックレス。ネットで「除光液でこすると、偽物は色が落ちる」という見分け方を見かけて、試してみようか迷っている。そんなときは、試す前に少しだけこの記事を読んでください。
最初にお答えします。
- ラピスラズリの「偽物」には、ガラスなどで作られたもの・ラピスラズリに似た別の石(ソーダライトや、青く染めた石)・色や見た目に手を加えたラピスラズリの3つがあります
- 除光液でこする・削る・熱を当てるといった方法は、染めたりワックスを染み込ませたりした本物のラピスラズリでも、色や表面を傷めることがあります
- 金色の粒が入っていても、深い青でも、それだけで本物とは決められません
- 本物かどうかを確かめる手がかりは、宝石の専門機関による鑑別書です
- わからないときは、何も試さずに、そのまま見せていただいて大丈夫です
この記事では、手元のラピスラズリを傷めずに確かめるための順番を、GIA(米国宝石学会)などの解説をもとにお伝えします。
目次
「偽物」と呼ばれるものは大きく3つ。ラピスラズリでないものと、見た目に手を加えたラピスラズリ

ひと口に「偽物」といっても、中身は次の3つです。
- ガラスなどで作られたもの(模造品):ガラス・プラスチック・セラミックなど、人の手で作られた素材です(GIA)。フランスのギルソンが、ラピスラズリに似せて作った品もあります
- ラピスラズリに似た別の石(ソーダライトや、青く染めた石):ソーダライトという天然の青い石や、ハウライト・ジャスパーという別の石を青く染めたものです(宝石学の教育団体IGSの解説)
- 色や見た目に手を加えたラピスラズリ:石そのものは本物のラピスラズリで、色をよく見せるために染めたもの(染色)や、色と光沢をよく見せるためにワックスやオイルを染み込ませたもの(含浸)です(GIA)
お手元の品がガラスなどで作られたものや似た別の石なら、中身はラピスラズリとは別の素材や石です。3つめなら、石はラピスラズリのままで、色や見た目に手が加えられています。同じ「偽物」という言葉でも、中身はずいぶん違います。
「練り」「再生」という呼び名を見かけることもあります。ただ、GIAなどの解説には、これらの言葉の決まった意味は書かれていません。reconstructed(再構成した)とうたって売られていた品を、GIAが調べて模造品として報告した例もあります。名前だけで中身を判断しないことが大切です。
ラピスラズリがどんな石なのか(何でできているのか)は、「ラピスラズリとは」の記事でお伝えしています。
除光液でこする前に読んでください|試すと、処理された本物まで傷むことがあります

ネットの見分け方の記事には、除光液やアルコールでこすって色が落ちるか見る、針などでこすってみる、といった方法が書かれていることがあります。でも、おすすめしません。理由は次のとおりです。
- 除光液・アルコール:IGSによると、染めたラピスラズリの色は、除光液やアルコールのような身近な溶剤に触れるだけで溶けてしまいます。GIAも、石を染めている色素の多くは、アルコールやアセトンに触れると落ちることがあるとしています。もし染めた石だったら、その色を落としてしまうことで確かめる方法なのです
- こする・削る:ラピスラズリの硬さはモース硬度5〜6(GIA)。ワックスなどの含浸は表面近くだけのことが多い(GIA)ため、こすると処理された表面を傷めることがあります
- 熱を当てる:GIAによると、ワックスやプラスチックを染み込ませた石は、熱で傷みやすい石です
- 酸をたらす:IGSは、酸を使う検査を、石を傷める検査で、宝石の専門家だけが行うものとしています
色が落ちたり、跡が付いたりしたら、元には戻りません。本物かどうかを知りたいときほど、何もしないで、そのままお持ちください。
ふだんのお手入れは、GIAによると温かい石けん水がよく、超音波洗浄機やスチームは使わないほうがよいそうです。
傷めずに見られるのはここまで|金色の粒があっても本物とは限りません

手元でできるのは、石をじっくり眺めてみることと、箱の説明書きや鑑別書、お店の札を読んでみることです。けれど、見た目や札だけで「これは本物」とは言い切れません。
- 金色の粒がある:本物のラピスラズリには、パイライトという金色の粒が入っていることがあります。でもGIAは、金色の粒が入った、とても自然な見た目の模造品を報告しています。IGSによると、人工的に作られた品にも、金色の粒を入れたものがあります
- 深い青で、色が均一:GIAによると、白い部分が見えない均一な濃い青は、品質のよいラピスラズリの特徴です。でも、染める処理は色をよく見せたり、白い部分を隠したりするために行われます。GIAが報告した模造品も、かなり均一な濃い青でした
- 白い部分や、緑っぽいところがある:ラピスラズリには、白いカルサイトの筋が入るものや、少し緑がかった青のものもあります(GIA)。それだけで偽物というわけではありません
ネックレスやブレスレットの場合は?
ビーズのネックレスやブレスレットでも、見方は同じです。お店の「天然石」「本物」という札や、「スイスラピス」といった名前も、それだけでは根拠になりません。IGSによると、「スイスラピス」は青く染めたジャスパーを指す、誤解を招きやすい呼び名です。
本物かどうかの手がかりは鑑別書|見るのは「宝石名」と「コメント」

本物かどうか、色をつけていないかを確かめるのは、宝石の鑑別です。GIAによると、資格のある宝石の専門家なら、多くの場合、染めた石を見つけられるそうです。
鑑別書が付いているなら、次の2カ所を見てみてください。
- 宝石名:「ラピスラズリ」と書かれているか、ほかの名前になっていないか
- コメント(処理についての記載):色をつけたなどの処理が見つかると、そのことが書かれます。宝石鑑別団体協議会(AGL)の決まりには、たとえば「色素による着色処理が行われています。」といった書き方が定められています
GIAの鑑別書にも、天然かどうかと、見つかった処理が書かれます。
なお、箱や説明書きに書かれた「瑠璃」「ラズライト」などの名前は、鑑別書の記載とは違います。「瑠璃」はガラスの古い呼び名でもあるので、名前だけでは中身は決まりません。名前の意味は「ラピスラズリの和名」の記事でお伝えしています。
本物かわからないまま、そのまま見せてください

「本物かどうかもわからないのに、持っていっていいのかな」。そう思わなくて大丈夫です。
おもいおでは、天然の石か、人工の石か、ガラスなどの模造品かがわからない品でも、査定やご相談をお受けしています。鑑別書がなくても構いません。宝石全般について、色をつけたなどの処理の可能性も評価の材料として見ますが、見た目だけで決めつけることはしません。信頼できる鑑別機関の鑑別書がある場合は、記載された石種を重要な確認根拠として扱います。
見せていただくときは、石そのものの様子や、枠の貴金属・デザイン・傷や欠けなどの状態まで、ジュエリー全体として見ていきます。何も試していない状態のほうが、石の様子をそのまま見られます。「これって本物?」といった気になることも、査定の途中で何でも聞いてください。売るかどうかは、お話を聞いてから決めていただいて構いません。
まとめ|覚えておきたいこと
- 「偽物」は、ガラスなどで作られたもの・ラピスラズリに似た別の石(ソーダライトや、青く染めた石)・色や見た目に手を加えたラピスラズリの3つです
- 除光液でこする・削る・熱や酸を使う方法は、染めたりワックスを染み込ませたりした本物のラピスラズリでも傷むことがあるので、試さないでください
- 金色の粒や深い青だけでは、本物とは決められません
- 「スイスラピス」などの名前や「天然石」の札も、それだけでは根拠になりません
- 確かめる手がかりは、鑑別書の「宝石名」と「コメント」です
- わからないときは、何も試さずにそのままご相談いただけます
引き出しの中のラピスラズリ、本物かどうか一度見せていただけませんか。わからないままでも、鑑別書がなくても、お気軽にどうぞ。



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おもいお鑑定士のnoteでは、遺品整理や資産整理、受け継いだ宝石との向き合い方などを、日々の査定で感じたこととともに紹介しています。
