- 2026/10/26
ラピスラズリの和名は?「瑠璃」と「青金石」、2つの呼び名の意味をやさしく
祖母から譲られた帯留めの桐箱に、筆で「瑠璃」と書いてある。でも、一緒に入っていた説明書きには「青金石」とある。調べてみると「ラピスラズリの和名」と出てくるけれど、結局どちらが本当の名前なのでしょうか。
最初にお答えします。
- ラピスラズリの日本の名前は「瑠璃(るり)」です。「青金石(せいきんせき)」とも呼ばれます
- どちらも辞書に載っている呼び名で、どちらで呼んでも間違いではありません
- 「瑠璃」は、お経に出てくる宝物の1つ・ガラス・色の名前としても使われてきた言葉です
- 「青金石」は、青い地に金色の粒がきらっと光る見た目から付いた名前です
- 箱や説明書きの名前だけでは、中の石が何かまでは決められません。わからないときは、そのまま見せていただいて大丈夫です
この記事では、石言葉や効果のお話ではなく、2つの名前がそれぞれどんな意味をもっているのかを、順にお伝えします。
目次
ラピスラズリの日本の名前は「瑠璃」。「青金石」と呼んでも間違いではありません

辞書を引くと、「瑠璃」の意味の1つに「ラピスラズリのこと」と書かれています。専門の事典(地学事典)でも、瑠璃はラピスラズリの直接の和名として使われると説明されています。
一方で、辞書や百科事典には「ラピスラズリは青金石ともいう」という説明もあります。つまり、「瑠璃」も「青金石」も、ラピスラズリを指す日本語の名前です。ネットで「和名は瑠璃」と書くページと「和名は青金石」と書くページがあるのは、どちらかが間違っているからではありません。
ただ、2つの名前には少し違いがあります。
- 瑠璃:昔から使われてきた言葉で、ラピスラズリ以外のものを指すこともある、意味の広い名前
- 青金石:石の見た目から付いた名前で、博物館などでは、ラピスラズリの青をつくっている鉱物の名前としても使われる
どちらも覚えておくと、箱や説明書き、お店の表示で見かけたときに戸惑わずにすみます。ラピスラズリがどんな石なのか(何でできているのか、どこで採れるのか)は、「ラピスラズリとは」の記事でお伝えしています。
「瑠璃」ってどんな言葉?お経の宝物、ガラス、色の名前

「瑠璃」は、ラピスラズリだけを指す言葉ではありません。辞書には、次のような意味が並んでいます。
- お経に出てくる七宝(しっぽう)の1つ:青色の美しい宝石。インドの古い言葉(梵語)を漢字で写した「吠瑠璃(べいるり)」を略したものです。赤・緑・紺・紫色などもあると辞書には書かれています
- ラピスラズリのこと
- 瑠璃色の略
- ガラスの古い呼び名
百科事典によると、七宝はお経に説かれている7種の宝石のことです。同じ百科事典には、日本でもラピスラズリを瑠璃と呼んで七宝の1つに数えてきたと書かれています。
ただ、百科事典の「七宝」の説明によると、七宝の名前はお経によって少しずつ違い、それぞれの宝石が具体的に何を指すのかは、わかっていないことも少なくないそうです。お経に出てくる瑠璃が、今のラピスラズリとまったく同じ石だったとは言い切れない、ということです。
ガラスの古い呼び名としての瑠璃も、奈良時代の記録に出てきます。百科事典によると、734年(天平6年)の記録に「琉璃雑色玉」という言葉が見られます。古い品の箱に「瑠璃」と書かれていても、中身がガラスの場合もありうる、ということは覚えておくと安心です。
瑠璃色との違いは?
「瑠璃色」は石の名前ではなく、色の名前です。辞書では「紫色を帯びた濃い青色」と説明されていて、竹取物語にも「るりいろの水」という言葉が出てくるほど、古くからある色の名前です。色の名前を集めた辞典によると、JISという日本の規格では「こい紫みの青」と表されています。
一方で、ラピスラズリの石そのものの色には幅があります。GIA(米国宝石学会)によると、少し緑がかった青から紫がかった青まであり、淡い青のものもあります。瑠璃色は、宝石の瑠璃のような色を指す名前ですが、ラピスラズリがすべて瑠璃色というわけではありません。
「青金石」は、青い地に光る金色の粒から付いた名前

もう1つの名前「青金石」は、ラピスラズリの見た目から付いています。辞書には、ラピスラズリを磨くと濃い青の地に金色の斑点が輝くので、青金石ともいうと書かれています。百科事典でも、金色の粒が混じるものが宝飾品として好まれ、そこから青金石の名があると説明されています。
お手元のラピスラズリにも、金色にきらっと光る粒があるかもしれません。これはパイライト(黄鉄鉱)という鉱物で、金ではありません。深い青の中にこの金色が散る様子が、「青金石」という名前のもとになっています。
青金石は、博物館では鉱物の名前としても使われています。神奈川県立生命の星・地球博物館の解説では、ラピスラズリの青をつくる鉱物「ラズライト」の和名が青金石で、一般にはラピスラズリの名前で知られていると紹介されています。
なお、国立科学博物館は2026年の発表で、アフガニスタン産のラピスラズリも、主に「藍方石(らんぽうせき)」という鉱物でできていると説明しています。資料によって呼び方が違いますが、持ち主としては「青金石=ラピスラズリの別の呼び名」と覚えておけば十分です。藍方石がどんな鉱物かは、アウイナイトの記事でお伝えしています。
英語の名前の意味は「青い石」|ウルトラマリンは絵の具の名前

「ラピスラズリ」は、英語の名前(Lapis Lazuli)をそのままカタカナにしたものです。辞書によると、「ラピス」はラテン語で「石」、「ラズリ」はペルシア語で「青」という意味です。そのまま訳すと、「青い石」になります。
青い宝石を指す「瑠璃」、青い地に金色が光る「青金石」、そして「青い石」という意味の英語の名前。どの名前も、この石の青に結びついています。
よく似た言葉に「ウルトラマリン」があります。これは石の名前ではなく、色や絵の具の名前です。色の名前を集めた辞典によると、「ウルトラマリン」は「ヨーロッパの外から海を越えてやってきた」という意味で、ラピスラズリのような鮮やかな青を指します。日本語に直した名前(和名)は瑠璃色だと、同じ辞典に書かれています。
ラピスラズリは、昔から絵の具の原料としても大切にされてきました。GIAによると、ルネサンスの画家たちはラピスラズリから青い絵の具のウルトラマリンを作りました。日本画で使われてきた岩絵の具の「群青」も、ラピスラズリを粉にしたものだと百科事典に書かれています(最近は人工のもので代用されているそうです)。
箱に「瑠璃」「ラズライト」と書いてあったら?名前がわからなくても見せてください

ここまでのお話のとおり、ラピスラズリの呼び名は、ほかのものを指すこともあります。箱や説明書き、タグに書かれた名前だけで、中の石が何かを決めることはできません。
- 「瑠璃」と書いてある:ラピスラズリのほかに、ガラスの古い呼び名でもあります
- 「ラズライト」と書いてある:カタカナでは同じ「ラズライト」でも、綴りの違う「天藍石(てんらんせき)」という別の鉱物を指すことがあります
- 「ラピスラズリ」と書いてある:GIAによると、色をよく見せるために染色したものや、ワックス・オイルを染み込ませたものがあり、ガラス・プラスチック・セラミックで作られた模造品もあります
だからといって、ご自分で見分けようと悩む必要はありません。おもいおでは、天然の石か、人工の石か、ガラスなどの模造品かがわからない品でも、査定やご相談をお受けしています。鑑別書がなくても構いません。宝石全般について、色をつけたなどの処理の可能性も評価の材料として見ますが、見た目だけで決めつけることはしません。
見せていただいたときは、箱の名前だけでなく、石そのものの様子や、枠の貴金属・デザイン・傷や欠けなどの状態まで、ジュエリー全体として見ていきます。「箱には瑠璃と書いてあるけれど、本当に?」といった気になることも、査定の途中で何でも聞いてください。売るかどうかは、お話を聞いてから決めていただいて構いません。
まとめ|覚えておきたいこと
- ラピスラズリの日本の名前は「瑠璃」。「青金石」とも呼ばれ、どちらも間違いではありません
- 瑠璃は、お経の宝物・ガラス・色の名前としても使われてきた、意味の広い言葉です
- 青金石は、青い地に金色の粒が光る見た目から付いた名前です。金色の粒は金ではなく、パイライトという鉱物です
- 瑠璃色は色の名前で、ラピスラズリがすべて瑠璃色というわけではありません
- 英語の名前 Lapis Lazuli の意味は「青い石」。ウルトラマリンは色や絵の具の名前です
- 箱や説明書きの名前だけでは、石の正体は決められません。わからないときは、そのままご相談いただけます
「瑠璃」と書かれた箱の中の石、どんな石なのか一度見せていただけませんか。名前がわからなくても、鑑別書がなくても、お気軽にどうぞ。



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おもいお鑑定士のnoteでは、遺品整理や資産整理、受け継いだ宝石との向き合い方などを、日々の査定で感じたこととともに紹介しています。
