- 2026/10/27
ラピスラズリとソーダライトの違いは?アズライトなど似た青い石と、見た目だけで決めにくい理由
旅先のお店で「ラピスラズリ」の札が付いていたブレスレット。あとからネットでソーダライトという石の写真を見たら、そっくりに見えた。「私のはどっちなんだろう」と気になっている方に向けて、この記事を書きました。
最初にお答えします。
- ソーダライトは、ラピスラズリの青をつくる鉱物と同じ仲間の、別の石です。ラピスラズリの中に含まれていることもあります
- 金色の粒や白い筋は、どちらにも入ることがあり、それだけでは決められません
- ラピスラズリに似た青い石には、ほかにアズライト・ラズライト(天藍石)・アウイナイトなどがあります
- どの石かを確かめる手がかりは、宝石の専門機関が出す鑑別書の「宝石名」です
- わからないままでも、何も試さずに、そのまま見せていただいて大丈夫です
GIA(米国宝石学会)や国立科学博物館などの資料をもとに、手元の青い石を見るときのポイントを順番にお伝えします。
目次
「ラピスラズリかな?」と思う青い石は、いくつかあります

ラピスラズリは、青い鉱物に、金色のパイライトや白いカルサイトなどが集まってできた石(岩石)です(GIA)。どんな石なのかは「ラピスラズリとは」の記事でお伝えしています。
見た目や名前が似ていて、ラピスラズリと間違えやすい石には、次のようなものがあります。
- ソーダライト:ラピスラズリの青をつくる鉱物と同じ仲間の、深い青の石。白い筋や斑点が入ることが多い石です
- アズライト:銅を含む青い鉱物。緑色のマラカイトと一緒に見つかることが多い石です
- ラズライト(天藍石):カタカナの名前がラピスラズリの青い鉱物と同じになる、まったく別の鉱物です
- アウイナイト:ラピスラズリの青をつくる鉱物と同じ仲間。宝石としては、透き通った結晶です
- デュモルチェライト:見た目がラピスラズリに似ることがある、別の鉱物です
- サファイア:コランダムという鉱物の宝石。日本の誕生石では9月の石で、12月の石であるラピスラズリとは別の石です
この中で、いちばん間違えやすく、検索でもよく調べられているのがソーダライトです。次の章から、1つずつ見ていきます。
いちばん間違えやすいのはソーダライト|金色の粒や白い筋だけでは決められません

ソーダライトとラピスラズリは、どんな関係?
ソーダライトは、ラピスラズリの青をつくっている鉱物と同じ「仲間」の鉱物です(GIAの専門誌・宝石学の教育団体IGSの解説)。そのため、ラピスラズリの中にソーダライトが含まれていることもあります。2026年に国立科学博物館が国内で初めて確認した、新潟県糸魚川市産のラピスラズリでも、調べられた試料の1つは、青い鉱物がソーダライト(方ソーダ石)でした。
一方で、ソーダライトは単独でも、青い石としてビーズや小物などに使われています。IGSによると、ソーダライトはラピスラズリの代わりとして通用するほど深い青の、天然の石です。ソーダライトがラピスラズリとして売られている場面に出会うことのほうが多いだろう、とIGSは説明しています。
ラピスラズリの青い鉱物と同じ仲間でありながら、ラピスラズリとは別の石としても流通している。これが、2つの石の関係です。
見た目で比べると
お手元の石を見るときに気になるところを、資料の内容で並べてみます。
- 金色の粒:ラピスラズリには金色の粒(パイライト)が入っていることが多いのですが、GIAの専門誌によると、ソーダライトにも金色の粒が入った例が報告されています。反対に、金色の粒が入っていないラピスラズリもあります(GIA)
- 白い筋や斑点:ソーダライトには白い筋や斑点がよく入ります(鉱物のデータベース)。ラピスラズリにも白いカルサイトが入ることがあり(GIA)、白い部分があるだけでは決められません
- 青の色:どちらも深い青で、色だけで見分けるのは難しい石どうしです
金色の粒について、IGSは、ソーダライトにはパイライトが入らない点で区別できると説明していますが、GIAの専門誌は、金色の粒は決め手にならないとしています。この記事では、宝石の検査機関であるGIAの考え方に沿って、金色の粒はあくまで目安とお伝えしています。
専門の検査では何を見るの?
GIAの専門誌は、ラピスラズリの青い鉱物とソーダライトを区別する性質として、光の曲がり方(屈折率)や重さの割合(比重)、紫外線を当てたときの反応などの違いを挙げています。どれも、機器を使って測る性質です。
石をこすりつけて跡の色を見る方法や、酸をつける方法もありますが、IGSは、どちらも石を傷める検査で、専門家だけが行うものとしています。お手元の石では試さないでください。一度付いた跡は、元に戻りません。
アズライトとラズライト(天藍石)|名前や色が似ていても、まったく別の石です

アズライトは、銅を含むやわらかい石
アズライトは、銅を含む青い鉱物です。GIAの専門誌によると、硬さはモース硬度3.5〜4で、ラピスラズリ(5〜6)よりやわらかい石です。銅の鉱石と一緒に見つかり、ほとんどの場合、緑色のマラカイトと一緒に産出します。
青と緑がまだらに混ざった石は、アズライトとマラカイトが一緒になった「アズロマラカイト」の場合もあります(鉱物のデータベース)。とはいえ、ラピスラズリでも少し緑がかって見えるものがあるので(GIA)、緑が混ざっているからアズライト、とは言い切れません。
同じデータベースによると、アズライトは熱に弱く、強い光で色が弱まることもある石です。
ラズライト(天藍石)は、名前がそっくりなだけ
箱や説明書きに「ラズライト」と書かれていたら、少し注意が必要です。じつは、カタカナで「ラズライト」と書かれる鉱物は2つあります。
- ラピスラズリの青い鉱物:英語では lazurite。和名は青金石
- 天藍石(てんらんせき):英語では lazulite。リンを含む別の鉱物
色の名前を集めた辞典によると、2つはカタカナでは同じ表記で、英語の綴りが違います。IGSは、天藍石は見た目がラピスラズリに似ているものの、ラピスラズリとは関係のない鉱物だと説明しています。名前の意味は「ラピスラズリの和名」の記事でお伝えしています。
アウイナイトは同じ仲間、デュモルチェライトは見た目が似た別の石

アウイナイト
アウイナイト(藍方石)は、ソーダライトと同じ仲間に入る石です。ラピスラズリの青をつくる鉱物は、GIAではラズライト(青金石)と説明されていますが、国立科学博物館は2026年の発表で、有名なアフガニスタンのラピスラズリも主にアウイン(藍方石)でできていると説明しています。資料によって呼び方が異なりますが、どちらも同じ仲間の、よく似た青い鉱物です。
宝石として出会うときの姿は、まったく違います。ラピスラズリは光を通しにくい青い石ですが、宝石のアウイナイトは、透き通った結晶です。アウイナイトについては「アウイナイトとは」の記事でお伝えしています。
デュモルチェライト
デュモルチェライトは、ソーダライトの仲間ではない別の鉱物ですが、見た目がラピスラズリに似ることがあります。国立科学博物館によると、糸魚川の川原や海岸には見た目が似た「デュモルティ石」もあり、集められた標本の中にラピスラズリが混ざっている可能性があるそうです。GIAの専門誌も、海外でラピスラズリの産地として紹介されたことのある場所の石が、調べるとデュモルチェライトだった例を伝えています。
どの石かわからないまま、そのまま見せてください

鑑別書があれば「宝石名」を見てください
お手元に鑑別書があれば、まず宝石名の欄を見てみてください。「ラピスラズリ」と書かれているか、「ソーダライト」などほかの名前になっているかが、どの石かの手がかりになります。宝石鑑別団体協議会(AGL)の決まりでは、鑑別書に書く宝石名の書き方が宝石ごとに定められています。
わからないままでも大丈夫です
「ラピスラズリかどうかもわからないのに、持っていっていいのかな」。そう思わなくて大丈夫です。
おもいおでは、ラピスラズリなのか、似たほかの石なのかがわからない品でも、査定やご相談だけでもお受けしています。鑑別書がなくても構いません。信頼できる鑑別機関の鑑別書がある場合は、記載された石種を重要な確認根拠として扱います。宝石全般について、色をつけたなどの処理の可能性も評価の材料として見ますが、断定はしません。
見せていただくときは、石そのものの様子や、枠の貴金属・デザイン・状態まで、ジュエリー全体として見ていきます。何も試していない状態のほうが、石の様子をそのまま見られます。「これってソーダライト?」といった気になることも、査定の途中で何でも聞いてください。売るかどうかは、お話を聞いてから決めていただいて構いません。
まとめ|覚えておきたいこと
- ソーダライトは、ラピスラズリの青をつくる鉱物と同じ仲間の、別の石です。ラピスラズリの中に含まれていることもあります
- 金色の粒・白い筋・青の色だけでは、ラピスラズリかソーダライトかは決められません
- アズライトは銅を含む石。ラピスラズリよりやわらかく、緑のマラカイトと一緒に見つかることがよくあります
- 「ラズライト」と書かれていたら、青金石(lazurite)か天藍石(lazulite)か、英語の綴りを確かめましょう
- こすったり酸をつけたりして試すのはやめておきましょう
- 確かめる手がかりは、鑑別書の「宝石名」です。わからないままでも、何も試さずにそのままご相談いただけます
引き出しの中の青いアクセサリー、ラピスラズリかどうか一度見せていただけませんか。わからないままでも、鑑別書がなくても、お気軽にどうぞ。



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おもいお鑑定士のnoteでは、遺品整理や資産整理、受け継いだ宝石との向き合い方などを、日々の査定で感じたこととともに紹介しています。
