- 2024/11/07
ダイヤモンドの鑑定書の見方とは?買取時の必要性や再発行について解説
天然ダイヤモンドを購入した際に付属する「鑑定書」は、そのダイヤモンドが本物であることを保証し、その価値や品質を担保する書類です。鑑定書の有無によっては、ダイヤモンドの買取価格にも大きく影響することもあるため、ダイヤモンドを手放す時まで大切に保管しておく必要があります。
しかし鑑定書が手元にあったとしても、専門用語や英語の記載が多く、見方がよくわからない方も少なくありません。
そこで本記事では、天然ダイヤモンドに付属する鑑定書の味方について、鑑定書のサンプルをもとにご紹介します。ダイヤモンドの買取を依頼する際の重要性や、再発行する方法についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、本記事を監修する国際認定資格を持つ一流鑑定士、高源雅洋が代表を務める「買取専門店おもいお」では、銀座本店での店頭買取のほか、全国対応の出張買取・宅配買取を承っています。納得のいく査定金額で大切な資産を売却したい方は、ぜひ電話・メール・LINEの無料相談をご活用ください。
目次
ダイヤモンドの鑑定書の見方
ダイヤモンドの鑑定書は、ダイヤモンドの価値を決める要素として知られる「4C」を中心に、ダイヤモンドの価値・品質を保証する書類です。鑑定書の様式は、鑑定する機関によって異なりますが、基本的には上記の画像のような書類が添付されます。
どの鑑定機関の鑑定書であっても以下の項目は共通して記載されているため、それぞれの示す内容について詳しくご紹介しましょう。
- カット形状
- 寸法
- カラット重量
- カラーの等級(色起源)
- クラリティの等級
- カットの等級
- 研磨状態(Polish)、対称性(Symmetry)
- 蛍光性(Fluorescence)
- プロポーション
一つひとつ順番にご説明します。
カット形状
まず鑑定書のカット形状の項目では、「ROUND BRILLIANT CUT」(ラウンドブリリアントカット)のように、ダイヤモンドの研磨形状が記入されています。ほかにもオーバルカットやハートシェープカット、エメラルドカットなど、「ファンシーカットダイヤモンド」と呼ばれる形状のダイヤモンドも流通しています。
寸法
鑑定書の寸法の項目では、宝石の直径と深さがmm単位で記録されます。計測には自動計測装置を使用し、ダイヤモンドの直径は、ガードル直径の最小値・最大値の2つの寸法が記入されます。
カラット重量
カラット重量の項目では、ダイヤモンドの重さを1000分の1カラットまでの単位で計測して記入します。なお、ダイヤモンドの1カラットは0.2gに相当します。ダイヤモンドの価値を決める「4C」の評価項目の一つです。
カラーの等級(色起源)
カラーの等級(色起源)の項目で記入されるのは、カラーグレードで表されたダイヤモンドの色合いと、天然色か人工色かという色の起源です。ダイヤモンドのカラーグレードは、無色透明をDとし、黄色が強くなるほどにE・F・G・H…とアルファベット順に評価されます。
色起源は「天然(NATURAL)」と「人工(TREATMENT)」の2種類があり、天然のダイヤモンドの方が価値が高まります。
クラリティの等級
クラリティの等級は、ダイヤモンドの透明度を表す項目で、インクルージョン(内包物)の有無や大きさから判断されます。10倍に拡大して検査を行い、価値が高い順に以下のように評価されます。
- 「FL(フローレス)」
- 「IF(インターナリーフローレス)」
- 「VVS1.2(ベリーベリースライトリーインクルーデッド)」
- 「VS1.2(ベリースライトリーインクルーデッド)」
- 「SI1.2(スライトリーインクルーデッド)」
- 「I1.2.3(インクルーデッド)」
フローレス(FlawLess)は「完璧」を意味する英語で、インクルーデッド(Included)は「含まれる」という意味する英語であることを覚えておくと良いでしょう。
カットの等級
カットの等級は、ダイヤモンドの評価項目の中で唯一、研磨する人の技量が評価されるポイントであり、形状や仕上げなどの要素をもとに以下の5段階で示されます。
- 「EXCELLENT(エクセレント)」
- 「VERY GOOD(ベリーグッド)」
- 「GOOD(グッド)」
- 「FAIR(フェアー)」
- 「POOR(プアー)」
日本で流通するエンゲージメントリングで使われるのは、EXCELLENTまたはVERY GOODが中心で、それ以下のカット等級はブランドジュエリーに使われることはほぼありません。
研磨状態(Polish)、対称性(Symmetry)
研磨状態(Polish)、対称性(Symmetry)の2つは、「仕上げ(Finish)」の項目に含まれ、ダイヤモンドの美しさを評価します。カットの等級と同様にEXCELLENT〜POORの5段階で評価されます。
カットの等級・研磨状態・対称性の3つでEXCELLENTを獲得したダイヤモンドは「トリプルエクセレント(3EX)」と呼ばれ、ダイヤモンドの中でもトップクラスに美しい宝石です。
蛍光性(Fluorescence)
蛍光性(Fluorescence)は、紫外線を当てた時の発光具合を示す項目です。蛍光性が高くダイヤモンドがくすんで見える場合には、ダイヤモンドの評価にも影響することがあります。
プロポーション
図で表されるプロポーションの項目では、テーブル径やガードル厚、深さなどが詳細に記入されます。鑑定機関ごとに表記方法は異なりますが、角度または比率の単位で表されることが一般的です。
「鑑定書」と「鑑別書」の違い
ダイヤモンドの鑑定書によく似た書類として、「鑑別書」が挙げられます。鑑定書は天然ダイヤモンドの品質を保証する書類であるのに対して、鑑別書は宝石の種類を問わず、品質やカラット数を示す書類という違いがあります。
つまり本物のダイヤモンドに付属するのは鑑定書、それ以外の合成ダイヤモンドやルビー・サファイアといった宝石に付属するのが鑑別書です。書類の様式や名前はよく似ていますが、ダイヤモンドに特化した書類か、すべての宝石に使われる書類かで異なります。
もし手元にあるダイヤモンドに「鑑別書」がついていた場合、天然のダイヤモンドではなく人工的に作られた合成ダイヤモンドである可能性が高いでしょう。
ダイヤモンド鑑定書を発行する3つの鑑定機関
本記事では、中央宝石研究所(CGL)の鑑定書サンプルをもとに、鑑定書の見方についてご紹介してきました。信頼できるダイヤモンドの鑑定書を発行するのは、CGLを含めて以下の3つです。
- 中央宝石研究所(CGL)
- AGTジェムラボラトリー(AGT)
- 米国宝石学協会(GIA)
このうちCGLとAGTは日本語での鑑定書の発行に対応しており、GIAは海外の鑑定機関のため英語表記となります。
なお、これら3つの団体は業界でも信頼できる鑑定機関として「A鑑」と呼ばれます。ほかにも、宝石鑑別団体協議会(AGL)に加盟している鑑定機関を「B鑑」、それ以外の鑑定機関を「C鑑」と呼び区別することもあります。A鑑の3団体が発行する鑑定書が最も信頼性が高いですが、お手元の鑑定書がB鑑の機関が発行する書類であっても、不正確な鑑定が行われているわけではないのでご安心ください。
ダイヤモンドの買取で鑑定書を用意するメリット
ダイヤモンドの買取を依頼する際には、鑑定書を用意しておくほうが望ましいとされます。その理由として、鑑定書の以下の3つのメリットが挙げられます。
- ダイヤモンドの買取価格が上がる
- ご自身で買取相場を調べられる
- 鑑定書必須の店舗でも買取してもらえる
鑑定書の重要性や必要性について、詳しく解説しましょう。
ダイヤモンドの買取価格が上がる
鑑定書が付属していることで、ダイヤモンドの買取価格が上がりやすい傾向にあります。鑑定書がダイヤモンドの品質を担保し、専門的な検査機器や鑑定知識がなくとも、買取価格を決定しやすくなるからです。そのため質屋やリサイクルショップなどに買取を依頼する場合には、鑑定書が付属することでのメリットが大きくなります。
一方で、宝石鑑定の専門家が在籍する買取専門店に依頼する場合には、鑑定書の有無は大きく影響しません。鑑定書がなくてもダイヤモンドの正確な査定が可能で、相場通りの買取価格を提示できるからです。
一般的な質屋やリサイクルショップと比べて、宝石を専門とする買取店を利用すると、買取相場も高くなるため積極的に利用してみることをおすすめします。
ご自身で買取相場を調べられる
鑑定書に記載の「4C」をもとに、よく似たグレードや同じブランドのダイヤモンドの買取事例を調べ、お手元のダイヤモンドの買取相場をざっくりと把握できる点もメリットです。買取価格の大まかな目安を把握してから買取を依頼することで、相場よりも安く買い叩かれる事態を防げるからです。
予想した買取相場よりも低ければ、ほかの買取専門店にも足を運んでみるなど、より高価買取してくれるお店を探しやすくなるでしょう。
鑑定書必須の店舗でも買取してもらえる
ダイヤモンドの買取を実施しているお店の中には、鑑定書を必須としているところもあります。こうしたお店は、ダイヤモンド鑑定の専門知識を持たない、もしくは宝石の鑑定の手間を省きたいといった理由が考えられます。鑑定書があれば、鑑定書必須のお店でも買取依頼を出すことができる点は、一つのメリットと言えるでしょう。
しかしダイヤモンドの買取に自信があるお店は、鑑定書がなくとも、検査機器や鑑定知識によって正確な価値を調べることが可能です。そのため鑑定書必須のお店だけにこだわることなく、ダイヤモンド買取の実績が豊富で一流の鑑定士が在籍するお店を選ぶことが大切です。
ダイヤモンド鑑定書の再発行はできる?
「購入時には鑑定書がついていたはずだが、紛失してしまったので再発行してもらいたい」
そんな状況でお困りの方も少なくありません。しかしダイヤモンドの鑑定では、同じ内容の鑑定書を再発行することは原則として不可能です。鑑定書を再発行したい場合、「新規発行」という形で、鑑定機関に依頼する必要があります。
その際には、ダイヤモンドはルース(裸石)の状態で鑑定に出さなければならず、リングやネックレスから取り外す必要があります。また、鑑定のための費用も発生することからも、「買取価格を高めたいから」という理由で鑑定書の再発行を依頼するのはあまりおすすめできません。
前述した通り、専門知識を持った鑑定士が在籍するお店なら、買取価格に鑑定書の有無はほとんど影響しません。そのため鑑定書の再発行をするよりも、信頼できるお店で査定してもらう方が、高価買取につながりやすいのです。
もし信頼できる買取店の選び方がわからない場合には、ぜひ下記のページも参考にしてみてください。
関連記事:【鑑定士監修】ダイヤモンド買取のおすすめ業者12選!高く売る方法や相場も解説
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まとめ
ダイヤモンドの鑑定書には、カット形状・寸法から始まり、「4C」の各項目やプロポーションについて、各鑑定機関の様式で記入されています。
ただしダイヤモンドの鑑定書と間違いやすい書類として、「鑑別書」があることに注意しましょう。鑑別書はダイヤモンドが本物であることを示すものではないため、ダイヤモンドの価値を正確に調べたい場合には、鑑定書の発行を依頼するか、鑑定士による査定を受けることをおすすめします。
本記事でご紹介してきたダイヤモンド鑑定書の見方を参考に、お手元のダイヤモンドがどれくらいの価値を持っているのかをチェックしてみてください。