- 2026/10/22
GIAがダイヤの蛍光に新コメントへ|鑑定書の「蛍光性 STRONG BLUE」は減点?手元のダイヤで確認したいこと
ダイヤモンドの鑑定書には、「蛍光性」という欄があります。紫外線を当てたときにダイヤモンドが光るかどうかを記したもので、取引の世界では長く「欠点」のように扱われてきたと伝えられている性質です。
その蛍光について、米国の宝石研究機関GIAが、鑑定書に新しいコメントを加える予定だと業界誌が報じました。コメントの1つは、蛍光が自然光の下でダイヤモンドの外観を良く見せる場合がある、という趣旨のものです。
手元の鑑定書に「STRONG BLUE」などと書かれていると、これは減点の記載なのかと気になるかもしれません。この記事では、蛍光性の欄の読み方と、今回の変更が手元の鑑定書にどう関係するのかをまとめます。
目次
GIAが鑑定書に加える予定の、蛍光の新しいコメント
米国の宝飾業界誌JCK(2026年10月16日)によると、GIAは、ダイヤモンドの鑑定書に蛍光についてのコメントを加える準備を進めています。この計画は2026年6月に業界誌で報じられていたもので、JCKはGIAの広報責任者に取材し、計画をあらためて確認しました。GIAは2026年10〜12月期に顧客や業界へ詳細を発表し、その後に発行する鑑定書からコメントを加える予定です。
コメントは2種類が予定されています。多くの石に付くとみられるのは、自然光のように紫外線を多く含む環境では、蛍光がダイヤモンドの外観を良く見せる場合がある、という趣旨のものです。もう1つは、ごく一部の石について、蛍光とは関係なくもともとある透明感の低さやかすみが、紫外線の多い光の下で目立つ場合がある、という趣旨のものです。最終的な文言は、まだ調整中とされています。
対象は、蛍光を示すダイヤモンドのすべてではありません。JCKは、対象になりうる中程度以上の蛍光を持つダイヤモンドを、GIAが等級を評価するダイヤモンド全体の約3%と試算しています。JCKは別の記事(2026年10月5日)で、ダイヤモンドの業界が数十年にわたり蛍光を欠点として扱ってきたとも書いています。
なお、JCKによると、GIAは新しいコメントの入った鑑定書の見本をまだ公表していません。2026年10月22日時点で、GIAによる詳細の発表や、コメントの記載開始は確認できていません。
鑑定書の「蛍光性」の欄の読み方
蛍光とは、紫外線を受けたダイヤモンドが光を発する性質です。GIAによると、何らかの蛍光を示すダイヤモンドは全体の約25〜35%で、その95%以上は青く光ります。黄色や緑に光るものはまれです。
GIAの鑑定書では、蛍光の強さを次の5段階で表します。Medium以上の場合は、「BLUE」などの蛍光の色もあわせて書かれます。
| 鑑定書の表記 | 意味 |
|---|---|
| None | 蛍光なし |
| Faint | 弱い |
| Medium | 中程度 |
| Strong | 強い |
| Very Strong | とても強い |
国内でも、中央宝石研究所の鑑定書に「蛍光性」の欄があり、蛍光の色調と強さが記載されます。強さは無・弱・中・強・極強の5段階です。
大切なのは、蛍光が「4C」(カラー・クラリティ・カット・カラット重量)のような等級ではないことです。GIAは蛍光を、そのダイヤモンドを見分けるための特徴として記載しています。青い蛍光によって、わずかに黄色みのあるダイヤモンドが自然光の下で無色に近く見えることはありますが、GIAの鑑定書のカラーの等級は、条件をそろえた環境で決めるため、蛍光の影響を受けません。
「蛍光性 STRONG BLUE」は減点なのか
取引で「好まれにくい」とされてきた理由
GIAの説明によると、取引の現場では、DからHの高いカラーの等級で青い蛍光を持つダイヤモンドは、蛍光のないものより好まれにくいとされてきました。青い蛍光によってダイヤモンドがかすんだり、油が浮いたように見えたりすると考える人がいるためです。このため、この範囲で非常に強い蛍光を持つダイヤモンドは、蛍光のないものより安く取引されることが多いといいます。
GIAの観察では
一方でGIAは、蛍光そのものがダイヤモンドをかすませるわけではないとしています。光を散らす特徴をもともと持つ、ごくまれな石では、強い蛍光によってかすみが目立つことがありますが、その割合はGIAに提出された蛍光を示すダイヤモンドの0.2%未満です。
GIAが条件をそろえてダイヤモンドを見比べてもらった観察実験でも、一般の買い手を想定した観察者には、蛍光による見え方の違いに一定の傾向は見られませんでした。GIAは、蛍光は良いものでも悪いものでもなく、美しいと感じるかどうかは人によって分かれるとまとめています。
このため、蛍光性の欄に「STRONG BLUE」とあっても、それだけで手元のダイヤモンドの価値が決まるわけではありません。カラーやクラリティなどほかの記載や、石の状態とあわせて見る項目です。今回のコメントの追加が取引価格にどう影響するかは、現時点では分かっていません。
手元の鑑定書は、今回の変更でどうなる?
今回のコメントは、これからGIAが発行する鑑定書に加わる予定のものです。「蛍光性」の欄そのものは、これまでの鑑定書にもあります。新しく加わるのは、その蛍光が見え方にどう関わりうるかを書き添えるコメントです。以前にGIAが発行した鑑定書や、国内の鑑定機関の鑑定書には、このコメントは書かれていません。確認した報道の範囲では、すでに発行された鑑定書へ後からコメントを加えることも示されていません。
コメントが付くかどうかで、ダイヤモンドそのものが変わるわけではありません。手元の鑑定書の蛍光性の欄は、これまでどおり「そのダイヤモンドがどのくらいの強さで、何色に光るか」を記した記載として読めば十分です。
おもいおには、GIA(Gemological Institute of America)のGraduate Gemologist(G.G.)ディプロマ取得者が在籍しています。宝石の種類・品質・状態や、指輪の金属の素材・重さを確認したうえで査定しており、鑑定書がある場合はその記載も手がかりの一つになります。鑑定書が見当たらないダイヤモンドも、そのまま査定の対象です。
まとめ
GIAは、一定の範囲の蛍光を持つ天然のダイヤモンドの鑑定書に、蛍光が外観を良く見せる場合があるという趣旨のコメントなどを加える予定と報じられています。
鑑定書の「蛍光性」の欄は、4Cの等級ではなく、そのダイヤモンドの特徴を記した項目です。取引では強い蛍光が好まれにくいとされてきましたが、GIAの観察実験では、一般の買い手を想定した観察者に見え方の一定の傾向は見られませんでした。蛍光性の記載だけで価値が決まるわけではありません。
記載の意味が分からないときは、鑑定書ごとそのままご相談ください。査定料・キャンセル料はかからず、売るかどうかは査定額を確認してから決められます。




関連ページ
- 鑑定書がないダイヤモンドは買取できる?査定額への影響と、そのまま持ち込んでよい理由(鑑定書が見当たらないときの考え方)
参考・出典
- JCK「GIA to Add Fluorescence Comments to Diamond Reports」(2026年10月16日)
- Jeweller Magazine「GIA confirms systematic changes to diamond grading reports」(2026年6月16日)
- JCK「GemologyGeek Founder Debuts Collection Built Around Fluorescence」(2026年10月5日)
- GIA「Is Diamond Fluorescence Good or Bad?」(2023年7月18日)
- 中央宝石研究所「グレーディングレポートについて」
- 中央宝石研究所「Gemmy 154号 ラボQ&A」